*夫婦日和*


 食卓に並べられたものは、予想通りに薬膳料理だった。

 しかも、どれも精力がつくものときいている。

 流石に玄徳も苦笑いをするしかなかった。

 まさかこんなにもあからさまなことを芙蓉がしてくるとは、思ってもみなかったのだ。

「美味しそうですね!」

 花は本当に嬉しそうに料理を見ている。

 どちらかと言えば、花も素朴な料理が好きなようだが、たまにはこんな料理も良いと思っているのだろう。

 とにかく、花が喜んでくれているのならば、それはそれで構わないと、玄徳は思った。

 花が良ければいいなんて、やはり、本当に愛しくて堪らないのだと、玄徳は改めて思った。

「たまにはこんなお料理も良いですね。毎日だと飽きてしまいますけれど」

「…まあ、そうだな…」

 玄徳は苦笑いを浮かべながら、同意した。

「だけど美味しそうですね。私の世界でも似たような料理があるんですが、高級料理なんですよ」

「そうなのか。だったら、馴染みがあるということなのか」

「はい」

 花は嬉しそうに箸を持って食事をする。どちらかと言えば、玄徳は花の胸元ばかりを見てしまう。

 花の艶やかさに、くらくらしてしまいそうだ。つい生唾を飲んでしまう。

 花は玄徳にとっては、最高のご馳走だった。

「玄徳さん、食事はされないんですか?」

「あ、俺か?」

 ついうっかりしてしまい、玄徳は慌てて箸を持った。

「そうだな。しっかり食べないとな」

 食事よりも花が食べたいだなんて、なかなか直接言い出せない。

 玄徳は先ずは食事をすることにした。

「これ本当に美味しいです。玄徳さんもどうぞ!」

「ああ、有り難う」

 花が勧めてくれる料理を玄徳も頬張る。すると、直ぐにかなり精力がつくものであるのが解った。

 花も食べているのだから、一緒に食べてほうが良い。

 そんなことを思いながら、玄徳は食事をした。

 花は食事をしながら、本当に幸せそうな顔をしている。

 その表情を見ているだけで、玄徳は益々花を抱き締めたくなった。

 可愛い。

 可愛くてしょうがないと思う。

 玄徳は花ばかりを愛でるように見つめていた。

「可愛いな」

「え…?」

 花は何のことだろうかと小首を傾げている。その仕草が、また堪らない。

「お前がだよ」

 照れ臭くなりながらも、玄徳は言う。

 すると花は耳たぶまで真っ赤にさせて、そっと俯いた。

 このまま連れ去りたい。

 だが、コトの途中でお腹が空いてしまったら困るだとか、様々なことを考えてしまう。

 そして、愛する花にはがっついているとは思われたくはない。

 実際にがっついてはいるのだが。

「…ほら、食べてしまおう。折角の食事だからな」

「そうですね」

 花ははにかんで蕩けるような笑みを浮かべると、食事を進めた。

「芙蓉姫には感謝しなければなりませんね。こんなに美味しい食事が食べられるんですから」

「そうだな」

 芙蓉に少しだけ感謝はしている。

 花が素晴らしく綺麗だからだ。

 玄徳は美味しい食事なんてどうでも良いと思ってしまうぐらいに、花は魅惑的だった。

「何だか力がいっぱい出てきそうですよね。明日は沢山お仕事が出来そうですよ」

「…そうだな」

 玄徳は頷きながらも、花が起き上がれないぐらいに愛してしまいそうだと思っていた。

「こういう風にふたりで食事が出来るのが、とても嬉しいです。玄徳さんと結婚したんだなあって、改めて思えて幸せです。

「そうだな」

 玄徳は花の手を取ると、しっかりと握り締める。その強さに、花はこちらを見つめてきた。

 早く抱きたい。

 早くくまなく花を愛したい。

 玄徳は、花の手を握り締めて、シグナルを送っていた。

 今日の花は、それに気付いたのか、艶やかなまなざしでずっとこちらを見ている。

 瞳で玄徳が欲しいと囁いているかのようだ。

 それが嬉しくて、玄徳は更に手を握り締めた。

 食事が終わり、いよいよ新鮮な果物が出て来る。

 ここまで、随分と長い間、焦らされていたような気分だ。

 いよいよだ。

 しかも今回は、大義名文があるのだ。

 子作り。

 芙蓉にも誰にも邪魔されない、最強の理由だ。

 実際に、玄徳は花との子供は欲しくてしょうがなかったのだが。

 果汁が滴るような果物を、花が食べている。

 その姿を見つめているだけで、もう我慢の限界だと玄徳は思った。

 食卓を見ると、ほぼ食べ終わっている。

 これだけふたりで食事をすれば、どうなることとなるのか、玄徳は予想だに出来なかった。

「美味しかったです。芙蓉姫に感謝しなければなりませんね。こんなにも美味しかったです」 

「花…」

 玄徳はもう堪らなくなる。

 玄徳は席から立ち上がると、花をいきなり抱き上げた。

「げ、玄徳さんっ!?」

「花、もうお前が欲しくて堪らない…」

 玄徳はくぐもった声で囁くと、そのまま花を抱き上げた。

「お片付けは…」

「時間が経過したら片付けるように言ってあるから、お前は気にしなくても大丈夫だ」

 玄徳は静かにくぐもった声が聞こえたかと思うと、そのまま閏房へと向かう。

 いつも玄徳と愛し合っている場所ではあるから、抵抗感はないのだが、やはり恥ずかしさはかなりのものがある。

 愛し合って、いつも抱き合って眠る部屋に戻っているだけなのではあるが。

 閏房に入ると、ようやくふたりだけの時間を持つことが出来ることが、何よりも幸せだった。

 いつもよりも緊張してしまう。

 それは花も同じようで、固まっている節があった。

 玄徳は愛しい花のフェイスラインをじっくりと撫で付ける。

 うっとりと潤んだ瞳で見つめてくれる花は、玄徳の欲望を刺激する程に美しく艶やかだ。

 本当に美しい。

 堪らないぐらいだ。

 玄徳は、自分が贈った漢服を着こなす花が怖くなるぐらいに愛しくて、そのままキツく抱き締めた。

 花の柔らかな躰と温もりを感じながら、自分のものなのだと、妻なのだと感じずにはいられない。

「…花…」

 綺麗な胸の谷間が見える。

 漢服を着ている花も美しいと思うが、それ以上にこれを脱いだ裸の姿を見たかった。

 玄徳は花をお姫様抱っこをして寝台まで運ぶと、唇を情熱が迸るままに塞いだ。

 花の唇を塞ぐだけで、欲望が更に沸騰してくる。

 子供を作らなければならないだなんて義務は、どうでも良くなってくる。

 花と舌を絡ませ合い、お互いの唇を吸い合いながら、愛を交わす。

 花の総てを味わい尽くしたい。

 ようやくありつけたご馳走のように、玄徳には思えてならなかった。

 花の着ている漢服をゆっくりと、そしてじっくりと脱がしてゆく。

 本当に綺麗な躰だと思う。

 いくら見つめても、見飽きないほどに綺麗だ。

「お前は本当に綺麗だな…」

 玄徳が花の裸身をまじまじと見つめると、恥ずかしそうに愛らしく躰を捩じる。

 それがとても可愛い。

「…花…隠さなくても構わない…。お前は本当に可愛いんだからな」

「…玄徳さん…」

 花は恥じらう笑顔を向けて来る。

 欲しくてしょうがなくて、玄徳は欲望を爆発させるかのように花を抱き締めた。

 花の滑らかな肌を、躰を直に感じるようになると、玄徳の欲望は止まらなくなる。

 止まらないどころか、爆発してしまいそうな勢いだ。

 首筋から鎖骨にかけて唇と舌で愛しながら、玄徳は花の躰を柔らかく撫で付けてゆく。

 それだけで、玄徳は胸がいっぱいになる。

 花が可愛いくてしょうがない。

 今夜はとことんまで貪りたいと思いながら、玄徳は更なる愛撫を続けた。



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